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2014年10月17日(金) 長谷川 幸洋
長谷川幸洋「ニュースの深層」

世界経済の先行き不透明感が強まっている。国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しは「下ぶれリスクは明白である」と強い言葉で警告した。欧州ユーロ圏は4~6月期にゼロ成長に落ち込み、中国も「すでにマイナス成長ではないか」という声がある。これで日本は消費税を10%に引き上げられるのか。

欧州経済の先行きは悲観的

まずIMFの予想をみよう。10月7日に発表された世界経済見通し(http://www.imf.org/external/japanese/pubs/ft/survey/so/2014/new100714aj.pdf)によれば、好調なのは米国と英国くらいだった。あとは日本を含めて悪化か、せいぜい横ばいだ。

なかでも停滞が際立っているのは欧州である。ユーロ圏は債務問題という負の遺産から抜け出せず、2012年は▲0.7%、13年も▲0.4%とマイナス成長を続けた。14年はようやくプラス0.8%に転じる見通しだが、これは希望的観測かもしれない。

欧州連合統計局(eurostat)が9月5日に発表したユーロ圏18カ国の4~6月期の国内総生産(GDP)は前期比0%成長だった(http://epp.eurostat.ec.europa.eu/cache/ITY_PUBLIC/2-05092014-AP/EN/2-05092014-AP-EN.PDF)。

この後に発表された7月の鉱工業生産は前月比1.0%増とプラスを保ったが、建設部門の生産高は同じく0%と横ばいにとどまっている(いずれもeurostat)。景気回復はとても視野に入っていない。IMFも「ユーロ圏の回復が失速し需要がさらに弱まり、低インフレがデフレにシフトするリスクがある」と先行きには悲観的だ。

中国の金の卵は壊れた

それから中国である。IMFの見通しは14年に7.4%成長を見込んでいる。これは中国政府の公式目標7.5%とほぼ同じだ。ところが、中国出身の中国ウォッチャーである石平・拓殖大学客員教授は最近発売された『月刊Voice』の論文で「中国経済はいま、生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされている」と書き出して、次のデータを紹介している。

「それを端的に示しているのは、今年8月20日に中国煤炭工業協会が公表した2つの数字である。今年1月から7月までの全国の石炭生産量と販売量は前年同期比でそれぞれ1.45%減と1.54%減となったという」

そのうえで、李克強首相が公式のGDP統計を信用せず、もっぱらエネルギー消費量や物流を基に本当の成長率を判断する、という有名なエピソードを紹介しつつ「このような物差しからすれば、…政府公表の『7.4%』ではなく、実質上のマイナス成長となっている可能性がある」と指摘している。

日本の市場関係者に聞いてみても「7%成長は信用できない。実際はせいぜい3~5%くらい、というのが市場のコンセンサス」という。先週のコラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40720)でも指摘したが、中国では不動産バブルがすでに弾けた。

中国の国家的闇金融であるシャドーバンキングは、不動産バブルが高金利を生み出す金の卵になっていた。その卵が壊れたからには、いずれシャドーバンキングの破綻も免れない。GDPの半分に達する500兆円規模ともいわれる闇金融システムが壊れれば、どうなるか。中国だけにとどまらず、中国への輸出で息をついている韓国、さらに世界経済への打撃も避けられない。

もしイスラム国が中東の原油を制圧したら

加えてイスラム国問題がある。米国はシリア領内の空爆に踏み切ったが、地上軍なしに武装勢力を壊滅させるのは難しい、というのが軍事関係者の一致した見方だ。とはいえ、11月に中間選挙を控えるオバマ大統領は国民に「地上軍は派遣しない」と約束してきた手前、当面は空爆以外に手がない。

ということは、イスラム国の武装勢力を掃討できず、戦闘の長期化は必至といえる。イスラム国の戦略目標はサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)などの原油を握ることだ、といわれている。だからこそ、サウジやUAE、カタール、バーレーン、ヨルダンなど産油国も空爆作戦に参加したのだ。テロ組織が中東の原油を制圧した事態を考えれば、それが世界経済にとってどんなに恐ろしい話か、容易に想像できるだろう。

いまのところ、イスラム国問題は原油価格に響いていないが、もしも戦闘がサウジなど産油国に波及したら大事になる。IMFも「(中東の混乱が)変化する可能性があることは明らかで、そうなった場合、世界経済への影響は大きいだろう」と地政学的リスクを指摘している。

エボラ出血熱もリスク要因

ここへきて、もう1つのリスク要因も加わった。それはエボラ出血熱だ。当初、感染は西アフリカに限られていたが、そこから飛び火してスペインで欧州大陸初の感染患者が出た。さらに米国でもリベリアから帰国した患者の治療に関わった女性看護師が感染した。感染が欧州と北米大陸に広がったのだ。

いまは場所が限定されているが、感染が確認された後、米国も欧州も西アフリカからの入国を制限していない。水際で食い止める方針だが、はたして感染拡大が防げるかどうか。今後も感染者が増えるようだと、心理的にも人々の移動や行動に影響が出てくる。当然、経済にはマイナスである。

実際、すでに米国の株価はエボラ出血熱の感染拡大を嫌気して下落する場面があった。日本ではエボラ出血熱やイスラム国関連のニュースはそれほど大きな扱いになっていないが、米国のCNNや英国のBBCなどはここ数週間、この2つでもちきりである。ともに米国と欧州にとって人ごとではなく、密接に関わってきたからだ。

逆に言えば、それだけエボラ出血熱とイスラム国問題が世界経済に与える悪影響も大きくなる。その点は日本もよく認識しておくべきだ。

日本の増税見送りは世界の常識論

そこで日本だ。先週のコラムで書いたように、IMFは日本の14年の成長率を7月時点の見通しから0.7%も下方修正して0.9%成長と見込んだ。そんな状況の下で、国内では消費税の扱いがどうなるかが大きな焦点になっている。財務省は相変わらず「消費税を予定通り15年10月から10%に引き上げなければ、国際的信認を失う」と宣伝している。だが、これは視野狭窄の脅し文句と言わざるをえない。

たとえば、最新の『エコノミスト』誌(10月11~17日号)はどう書いているか。「世界経済、見た目以上に弱い」というタイトルの記事で「弱体の国々に対する処方箋はシンプルである」と次のように指摘した。

「自分たちの問題解決に米国を頼るのではなく、最近の悪いニュースは目覚ましコールと受け止めるべきだ。欧州中央銀行(ECB)は直ちに国債の買い上げを始める。日本政府は経済が回復するまで消費税の引き上げを遅らせる。そして、それが可能である国々、とりわけドイツはインフラストラクチャーに対する投資をすべきだ」

「日本は消費税引き上げを延期すべきだ」と主張しているのである。同様に米紙の『ニューヨーク・タイムズ』も、英経済紙の『フィナンシャル・タイムズ』も再増税延期を主張している。エコノミストを含めて、いまや増税見送りが世界の常識論になっているのだ。

さてそうなると、財務省の尻馬に乗って「国際的信認が失われる」とか騒いでいる日本のマスコミやエコノミストがいかにトンチンカンであることか。ようするに、ポチそのものなのだ。今回の消費税問題はそんな議論の本質を見抜く絶好のチャンスである。

食品:コーヒー、ワイン、即席麺…秋から冬 次々に値上げ
12日前
高水準で推移する食品の消費者物価指数
高水準で推移する食品の消費者物価指数
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 ◇円安で仕入れ価格高騰、「コスト削減、これ以上は限界」

 秋から冬にかけて食品が次々と値上げされる。急激な円安などを受け、仕入れ価格が高騰しているためだ。4月の消費増税後、物価上昇に給料の伸びが追いつかない状況が続く中、身近な品々の値上がりは、消費をさらに冷え込ませかねない。

 UCC上島珈琲は11月1日から、スーパーなどで売るすべての家庭用レギュラーコーヒーを値上げする。主要産地のブラジルの干ばつでコーヒー豆の生産量が減少、8月中旬ごろからの急激な円安もあり、輸入価格が昨年11月に比べ2倍以上になったからだ。主力の「UCCゴールドスペシャル スペシャルブレンド(400グラム)」の店頭想定価格は税抜き702円から878円に上がる。

 アサヒビールとキッコーマンは、フランスなどからの輸入ワインを平均8%値上げする。こちらも天候不順で原料のブドウの価格が上がった。キリンビール傘下の中国酒販売「永昌源」は、中国での人件費上昇などのあおりで、輸入紹興酒を値上げする。

 即席麺の値上げは、円安に加え、新興国の需要拡大で小麦など輸入原材料価格が上昇したことが要因だ。包装資材の仕入れ値が上がったり、ガソリン、軽油価格の高止まりで輸送費がかさんだりしていることも影響している。最大手の日清食品は主力の「カップヌードル」などの価格を来年1月から引き上げる。値上げは2008年以来7年ぶり。広報担当者は「これまではコスト削減で吸収してきたが、原材料価格が下がる見通しはなく、これ以上は限界」と話す。

 消費税率が8%に引き上げられた4月から、消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は毎月、前年同月より3%超上昇しているが、そのうち生鮮食品以外の食料品は、4%台の伸び。チョコレートやハム、ソーセージ、乳製品などが円安による輸入原材料の上昇で値上がりしたことが響いている。

 生鮮野菜もこの夏は天候不順を受け高騰。今月は平年並みに落ち着く見通しだが「ハウス栽培に使う燃料代が上がれば、この冬も野菜が高くなってしまう」(東京都内のスーパー)と懸念の声も出ている。

 物価上昇分を除いた給料(実質賃金)は8月まで14カ月連続で前年実績を下回った。みずほ証券の末広徹マーケットエコノミストは「食料品の値上がりは、実質賃金の上がっていない家計には厳しく、消費を控えてしのごうとの動きが広がりかねない」と指摘する。【鈴木一也】

もがく「マクドナルド」…世界的に売上急落、日本に続き米トップも交代
産経新聞 10月6日(月)11時10分配信

もがく「マクドナルド」…世界的に売上急落、日本に続き米トップも交代
業績が低迷するなど逆風に苦しむマクドナルド=大阪市浪速区(写真:産経新聞)
 外食の巨人マクドナルドが吹きすさぶ逆風にあえいでいる。最近の自然食志向や中国の食品会社の使用期限切れ鶏肉使用問題などで、世界的に売り上げが急落し、年間の販売見通しも暗転。さらにトップが交代した日本に続き米国部門責任者が事実上の引責辞任に追い込まれるなど、日米ともに経営体制が揺れ動く。危機感を強めるマクドも改革を急いでいるが、浮上のきっかけをつかめるか。

 ■業績予想立たず

 「ここまで落ち込みがきついとは…」

 アナリストが驚くほど、世界でマクドナルドを展開する米本社が先日発表した8月の販売概況は、世界の外食業界や市場関係者に衝撃を与えた。世界の既存店売上高は前年同月より3・7%減少し、減少幅は7月の2・5%減からも拡大。実に11年5カ月ぶりの急落となったのだ。

 地域別では、アジア太平洋・中東・アフリカが14・5%減と大苦戦し、本国の米国も2・8%減とふるわなかった。堅調だった欧州まで、米国との外交関係が悪化しているロシアでの一部店舗が営業停止した影響で0・7%減とマイナスに転じてしまった。

 日本の状況も深刻だ。日本マクドナルドホールディングスによると、8月の既存店売上高は25・1%減と、平成13年の株式上場以来、最大の落ち込みとなった。関係者によると、とくに土日など休日の集客の不振が目立ったという。今年上期の最終利益は前年同期比59%減の18億円と激減。6月まで上昇基調だった株価も、夏場に入ってから一転して低迷し、投資家も気をもむ展開が続く。

 逆にライバルのモスバーガーは業績も堅調で、ハンバーガー業界ではマクドの苦戦が際立っている。

 マクドの業績を直撃したのが、中国の使用期限切れ鶏肉使用問題だ。仕入れ先の食品会社の上海福喜食品が期限切れの鶏肉を使用していたため、中国はもちろん日本でも客足が遠のいたことが響いた。

 日本マクドナルドホールディングスも影響を見極めきれず、通期の業績予想を「未定」とする異例の事態に追い込まれている。さらに日本では、一部の商品で料金を過剰に徴収していたことも発覚し、批判にさらされている。

 ■事実上の更迭?

 また、経営の迷走の背景に指摘されるのが、経営体制をめぐる動揺だ。

 マクド米本社は8月、傘下の米国マクドナルドのジェフ・ストラットン社長が10月15日付で退任すると発表した。理由は明らかにされていないが、ストラットン氏は2012年12月に就任したばかり。2年もたたずに退任するのは、グループの屋台骨を支え、社員が仰ぎ見る米国トップとしては異例といえる。ただ米国部門は長く業績不振が続いており、「事実上の更迭」(アナリスト)との見方が市場では出ている。

 日本マクドナルドも昨年8月に原田泳幸氏が中核事業会社の社長兼CEO(最高経営責任者)を退任した。平成16年に社長に就任し、業績をV字回復させてきた原田氏だが、24年から2年連続の減収減益に転じた。今年3月には持ち株会社の社長も退いた。

 原田氏の後任には、元カナダ法人女性幹部のカサノバ氏が就いたが、そのカサノバ氏も社内外で評判が今ひとつ。中国の期限切れ食肉問題をめぐっては、即座に記者会見を開かず、中間決算発表会見で謝罪したが、「マクド自身も被害者であることを強調するような口ぶりが目立った」(業界関係者)ことで、印象を悪くした感がある。

 世界で事業展開するマクドの「総帥」である米本社のトンプソンCEOが2012年7月に就任してから、マクドの変調が鮮明になったとみる業界関係者も少なくない。マクドの株価を3倍近く引き上げるなどカリスマ的な手腕を発揮したスキナー前CEOと比較されるのは気の毒だが、それに比べてトンプソン氏の実績は物足りなさがどうしてもつきまとう。

 ■改革も競争厳しく

 もっともマクドとトンプソン氏もただ手をこまねいているばかりではない。

 まず、足元の米国事業の立て直しに向け、ストラットン氏の後任の米国部門トップに元グループ会社社長のマイク・アンドレス氏を再び呼び寄せた。米メディアによると、アンドレス氏は、2010~12年に米中部地区の統括役として既存店売上高も来店客数も増加させた実績をもつ。

 そして、事業面ではレストランのブランドの再構築を進めている。消費者の自然食志向や健康志向を意識し、「ハッピーミール(日本ではハッピーセット)」に果物や野菜を積極的に取り入れたり、先日は米食品大手クラフトと提携して小売りコーヒー市場に参入することを明らかにした。

 ただ、マクドを取り巻く市場と競争環境は依然厳しい。米バーガーキングは8月、カナダのドーナツ店大手ティム・ホートンズの買収に向けて交渉に入ったと発表した。実現すれば世界3位のファストフードチェーンが誕生することになり、マクドにも手ごわい存在となりそうだ。

 コーヒー市場参入も、これまではなんとか棲み分けていた米スターバックスや米ダンキン・ドーナツといよいよ“ガチンコ勝負”をマクドが迫られることを意味している。

 日本市場でも、あるアナリストは「消費者の嗜好(しこう)をつかみきれず、マーケティングで試行錯誤している」と指摘する。100円マックなど低価格商品で客足を伸ばし、高額商品の販促で客単価を引き上げる従来の戦略からいかに転換し、顧客の満足度を高められるかがカギだが、マクドの視界はまだ不明瞭だ。

2014-10-04
巨大企業も税金を払っています。
全力二階建てにもまとめられましたが、もう一度例のトンデモ本に対する批判を。
こちらですね。

税金を払わない巨大企業 (文春新書)
税金を払わない巨大企業 (文春新書)
作者: 富岡幸雄
出版社/メーカー: 文藝春秋
発売日: 2014/09/19
メディア: 単行本
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著者(富岡幸雄中央大学名誉教授)は、中央大学で長らく税務会計を講じていた高名な学者ですが・・

著者のロジックは、持株会社形式を取っている大企業のいちばん上に位置している持株会社単体の損益計算書に計上されている「法人税等」だけを取り出し、「会計上の税前利益に対し0.1%以下で少ない!けしからん!」という粗雑なものです。
持株会社の収益の大部分は傘下にぶら下がっている子会社からの配当金であり、法人税上、子会社からの配当は本支店間の損益の振替と同じく税金がかからない(益金不算入)なので、持株会社の課税所得は見掛け上の会計上の利益よりも著しく小さくなります。
これは、大企業だけの特典ではなく、中小企業も同じ制度が適用されます。


しかし、持株会社にぶら下がっている子会社は当たり前に税金を納付していますので、連結グループでは当たり前に納税を行っているわけです。
本に取り上げられているみずほFGを例にとりますと、持株会社単体の納税額2億26百万円。しかし、連結全体では645億円の税金を納付しています。
税前利益に対する割合は、単体0.1%、連結9%と法定実効税率約38%に比較すると著しく小さいように見えますが、これは過去の不良債権処理などでできた繰越欠損金などの影響も有り、会計上の利益と税務上の課税所得にずれがあるためです。しかし、このずれの分は過去に会計上の損失を出していた時に税務上は損金にならず税金を納付していたり、あるいは将来に繰越欠損金が埋まれば納付されることになります。
企業が存続する全期間を通算してみれば、繰越欠損金による税負担の減少は均されてしまい、ずれは基本的には生じないわけです。


富岡氏は税務会計の専門家ですから、このような法人税の仕組みには精通しているはずで、過去においては受取配当金の益金不算入や繰越欠損金の問題点にも言及しています。
齢90になろうかという最晩年に、なぜこのようなデタラメ本を執筆したのでしょうか。
情熱にあふれた富岡氏の学術業績を知るものとしては実に残念です。。

全力二階建てのまとめ記事はこちら。
http://kabumatome.doorblog.jp/archives/65807752.html

なぜ米国経済だけが好調なのか
自動車版「サブプライム・ローン」も活況
2014年10月01日 倉都 康行

消費税増税の影響は限定的だと言い続けてきた日本政府も、流石に実体経済が低迷している事実を否定できなくなってきた。4-6月期GDPの下方修正で内閣府試算のGDPギャップはマイナス幅が拡大し、9月の月例経済報告では景気基調判断が引き下げられ、10月の日銀短観も2四半期連続悪化の見通しとなっている。

 黒田東彦総裁の強気姿勢とは裏腹に、日銀は今年に入って今年度の成長見通しを3回下方修正している。だが現在の1.0%成長見通しすら非現実的との見方が大勢で、民間平均予想の0.5%とも大幅にかけ離れており、4回目の下方修正は時間の問題と見られている。大本営発表の数字は、日に日に信頼感を失っている。

 政府・日銀の説明には「低迷の主因は天候不順」との釈明が常に付随しているが、世界経済の動向を見誤ったことも認めるべきだろう。確かに米国経済には明るさが戻っているが、欧州や中国をはじめとする新興国は相当に厳しい経済環境に覆われており、短期間に回復するような気配は全くない。日本経済は、国内の消費不振だけでなく外需低迷というリスクにも晒され続けているのである。

4-6月期はドイツすらマイナス成長に

 先月、豪州で開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議では、経済面での米国の堅調さと米国以外の苦戦というコントラストが鮮明に映し出されていた。だが、それは9月になって初めて気づいた話ではない。

 ユーロ圏の病巣は、2012年秋以降の資本の再流入によって隠蔽されてきた。長期金利が急低下したことで南欧諸国の構造改革意識が低下し、スペイン以外では低成長構造が放置されてきたのである。それに加えて、牽引役であったドイツが米国の圧力に押されてウクライナ問題で対露制裁強化という政治判断を行ったことで、経済面で強い逆風を受けることになった。4-6月期は、ドイツすらもマイナス成長に陥ってしまったのである。

 また、中国経済の問題は本コラムで何度となく指摘してきたが、不動産価格は主要70都市のうち68都市で下落が始まり、金融緩和策も効果が出にくい状況になっている。理財商品や信託商品などのシャドー・バンキングに依存した成長が持続不能であることは、もはや世界的なコンセンサスであり、中国経済が想定外のペースで失速するリスクは、絶えず頭の隅に置いておかねばなるまい。

 そして、欧米による制裁強化や原油価格低下で苦闘するロシアや景況感悪化からの出口が全く見えないままのブラジルなど、その他の主要な新興国でも経済低迷が続く。東南アジアは中国経済成長鈍化という逆風を正面から受けることになろう。IMFは、2003-2008年に7%であった新興国全体の平均成長率が2008-2013年には6%に減速、2014年以降の5年間では5%にまで低下する、と予想している。それは、日本の成長期待値を押し下げるに十分な数字である。

こうした世界経済の低迷見通しの中で、米国経済は利上げ時期前倒しの観測が出るほど、堅調な推移を辿っている。先日のFOMCにおいては、声明文で市場に配慮したハト派的な印象を前面に押し出す一方で、政策金利見通し図(ドット・チャート)には反対にタカ派的な数字が並んでいたのが興味深い。

 FOMCの声明文発表とイエレン議長の記者会見後に、株式市場には「金融緩和継続」との安堵感が生まれたが、債券市場と為替市場には反対に「利上げペースは速い」といった警戒的な解釈が広がった。どちらの反応が正しいという軍配は挙げにくいが、一度利上げが始まればその後のFOMC開催ごとに順次政策金利が引き上げられていく確率は高そうに見える。

 だが、日本を含め各国・各地域が成長ペース確保に四苦八苦している中で、なぜ米国だけが順調な回復を見せているのだろうか。

 まず、FRBの量的緩和政策が株価・不動産を期待以上に押し上げて個人消費増という米国特有の資産効果を生んだ、という解釈が出来る。また、情報産業などにおける米国企業のしたたかな戦略が奏功した面もある。政府部門の急激な縮小が一段落したこと、ヘルスケアやシェールガスなどの部門で新たな就業機会が生まれたこと、自動車需要が予想を超えるペースで回復を見せたこと、なども牽引力として挙げられるかもしれない。

 これらの要因を筆者なりの金融的視点で整理すれば、米国経済が従来の「レバレッジ経済」を取り戻しつつある、ということになる。米国では、企業も家計も借金を使って経済を拡大するあの「米国流成長システム」が復活してきた、ということだ。

 典型的なのは、自動車販売である。2009年2月には年率換算で1000万台を割り込んだ米国での自動車販売台数は、8月には1700万台を超え、金融危機前の水準を回復している。その原動力となっているのは、自動車版「サブプライム・ローン」だ。

 信用力の低い家計に融資する「サブプライム・ローン」は、米住宅市場のバブルを演出した悪役としてすっかり有名になったが、昨今は自動車ローンの主役として再登場している。勿論、住宅と違って自動車の場合はその価値が安定しているため、バブルを生じる要素にはなりにくいが、それでも焦げ付き増は不可避の商品である。そのリスクを承知の上で信用力の低い人々に自動車を売っている、というのが日本人には解りにくい米国消費社会の一側面である。

戻ってきた米国の「借金による消費生活」

 また米国では金融危機後の家計におけるバランスシート調整がほぼ一巡したことで、カードローンなど消費者金融が増加に転じており、学資ローンや自動車ローンなどと併せ「借金による消費生活」というライフスタイルが戻ってきたことは注目されよう。

 また金融機能が銀行から非銀行に移り始めていることも、米国経済特有のダイナミクスを象徴するものだ。金融危機後、規制強化の嵐を受けて世界の大銀行は軒並み縮小戦略を迫られている。米国も例外ではない。2010年に制定されたドッド・フランク法は多くの点で骨抜きにされたとはいえ、大手金融は金融危機前のような積極的な戦略を採れなくなっている。

銀行業界に代わって様々な取引シェアを伸ばしているのが、PEファンドやヘッジファンドのようなノンバンク・セクターの「シャドー・バンキング」である。金融当局は、銀行界に対する規制強化の仕上げに忙しく、なかなかノンバンクにまでは手が回らない。いま米国では、社債だけでなく融資の世界でもレバレッジを用いるファンド勢が台頭しており、彼らが衰弱する銀行機能を補完していることで、何とか信用機能が保たれているのである。

銀行規制強化が裏目に出ているユーロ圏

 一方、米国以外では銀行規制強化が必ずしも経済にプラスに作用していないように見える。典型はユーロ圏だろう。年初には今年のユーロ圏経済は回復基調との見方が大勢であったが、4-6月期には失速が鮮明となり、イタリアは景気後退とデフレ入り、フランスはゼロ成長、ドイツは前述の通りマイナス成長と、良いところが殆ど見られない。

 ECBは低迷する銀行融資の増加を促すために、4年間の長期流動性供給や預金ファシリティへのマイナス金利まで繰り出してはいるものの、厳しそうな資産査定やストレステストに怯える銀行経営は融資拡大には慎重である。ユーロ圏の銀行対策は、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなものだ。

 ECBはABSやRMBSなどの資産買入れを開始する準備を進めており、今月にも始動する予定と見られているが、銀行の行動原理を変えるのは難しそうだ。日本でも見られたように、銀行は国債を購入する方向に靡いていくだろう。

 因みに日米と同様に長期国債を大量に購入する量的緩和策を導入した英中銀(イングランド銀行)は、先週その政策効果を吟味する報告書を発表し、量的緩和は銀行融資の増加には効果がなかった、と結論付けている。総需要やインフレ期待の押し上げには一定の効果があったとしながらも、信用面では期待外れであったという分析は、恐らく英国だけに当てはまるものではないだろう。

 ユーロ圏は日本と同様に銀行融資がファイナンスの主体となっており、銀行機能が低下すれば信用は縮小しがちである。勿論、経済の低迷長期化を予想する企業が設備投資に積極的でないという面もあるが、非銀行セクターの存在感が乏しいという米国との違いは、経済低迷の一つの説明要素となるのではないか。

1990年代以降の日本経済を髣髴させる中国

 銀行の機能低下という面では、中国も同じかもしれない。中国人民銀行は先月、大手5行に対して総額5000億元に上る期間3カ月の資金を供給した。これが、今年6月に一部銀行に対して預金準備率の引き下げを適用した金融緩和の第二弾であることは間違いない。最近の同国経済指標は下振れが続いており、不動産価格の下落傾向はほぼ主要都市全体に広がっている。政府は7.5%の成長目標達成に自信を示しているが、内心はヒヤヒヤものであろう。

 だが金融政策の限界は、恐らく中国にも当てはまる。過剰投資は過剰負債の裏返しであるからだ。レバレッジが急拡大した中国企業に、健全な資金需要はそれほど期待できない。8月の人民元建て融資は急減した前月の反動で盛り返したが、融資残高の伸び率自体は前年比13.3%と鈍化トレンドが続いている。人民銀行が先月半ばに公表した銀行サーベイでも、7-9月期の企業の資金需要が脆弱であることが示唆されている。

 将来的な需要拡大が期待できるのならば傷は浅いかもしれないが、前述の通り世界経済は需要低迷リスクに直面しているのが現実だ。この症状に対する処方箋は更なる成長刺激策ではなく、デレバレッジを粛々と進めることであろう。市場には、中国は借入減少と成長率鈍化をむしろ歓迎すべきだ、との指摘すらある。

 7.5%の成長目標を背負った李克強首相が、その選択肢を政策リストに入れることはないだろう。だが、金融政策が限界点に到達し、かつ不動産市況が無視できないリスク要因として表面化して中国が財政政策に着手するとすれば、傷口を更に広げることになりかねない。それは、まさに1990年代以降の日本経済を髣髴させるものである。

かくしてユーロ圏と中国は、形態の差異はあれど、銀行機能衰退の下で日本と同様の長期間にわたる経済低迷期を迎えた可能性が高いように思われる。

「レバレッジ経済」の死角

 だが独り勝ちの米国経済にも死角がないとは言えない。確かに製造業は好調であり、設備投資も徐々に復調を見せて雇用は回復途上にあるが、それらは前述したように単なる「レバレッジ経済の復活」を反映したものだ。来年春にも利上げが予想されるとは言いつつも、債券市場では機関投資家による長期債や100年債といった超長期債への需要は根強く、本格的な経済回復シナリオには疑念を抱いている印象が強い。

 一方、株式市場ではダウやS&P500が最高値を更新するなど、企業経済の活況を反映しているように見えるが、そこにも幾つかのトリックが見え隠れしている。一つ上げるとすれば、大企業による巨額の自社株買いである。

 S&P500企業の自社株買い総額は、昨年5000億ドルを超えて2007年の最高水準とほぼ肩を並べる勢いを見せたが、そのペースは今年も継続中である。自社株買いは、今や大手企業の経営トレンドとなっている。

 だが、自社株買いには「やり過ぎリスク」が常に伏在する。短期目線の投資家が群がって株価が釣り上げられることは日常茶飯事だ。株数の減少で表面上の一株当たり利益が上昇するため、業績連動報酬の企業経営への「危険ドラッグ」にもなり易い。

 また、米大企業の利益は節税の観点から海外に大量に保留されているため、自社株買いには社債による調達を充てるケースが多く、債券増・資本減という不健全なレバレッジの上昇が引き起こされているのが実情だ。

 つまり米国では、家計のレバレッジ再上昇に加えて企業もレバレッジを高め、ファンドなどのシャドー・バンキングもレバレッジを使って経済を盛り上げている、というのが筆者の観察である。米国経済は確かに「レバレッジの使い方が旨い」のだが、単なる先祖がえりなのであれば、それは危機の教訓を活かしていないということになる。

 拙いことに米国では所得格差が一層拡大し、富の分布も歪み放しという構造的な脆弱さを抱え込んでしまった。レバレッジ経済の復活は、その欠点を隠蔽しているだけなのかもしれない。

 またシリアへの空爆という泥沼化を予期させる軍事行動は、地政学リスクを増大させ、世界経済への逆風を強める可能性を胚胎している。そうした中で「利上げカウントダウン」は始まっているのだ。日本株の重要な説明変数でもある米国株に、賞味期限切れの期日が意識されるのは当然である。

 甘利明経済財政・再生相は先月、閣僚会議後の記者会見で「日本株はお買い得だ」と語ったらしい。2003年に金融・経済財政担当相の要職にあった竹中平蔵氏が「ETFは絶対に儲かります」と大見得を張った場面を髣髴させる発言だが、筆者には現在の日本株はちょっと手が出せない価格の値札のついた割高商品のように思えてならない。

2014年09月18日(木) 安達 誠司
安達誠司「講座:ビジネスに役立つ世界経済」

今後の金融政策の違いがドル高を加速する

このところ円安が進行し、現在1ドル=107円台で推移している。民主党政権末期に1ドル=77.5円程度まで円高が進み、日本経済に大きな打撃を与えたドル円レートは、野田首相(当時)の衆議院解散発言から安倍政権による金融緩和を軸とした「アベノミクス」によって、約半年の間に1ドル=103円程度の円安が一気に実現した。

その後は、円安のペースが減速し、今年に入ってからは、1ドル=101円から103円程度の狭いレンジでの推移を繰り返し、為替市場関係者の間では1ドル=100円割れのリスクが指摘される状況であった。だが、8月中旬頃からドル円レートは再び円安方向で推移するようになり、9月に入ってからその流れが加速しつつあるようだ。

円安の理由は先進主要国の今後の金融政策の違いに起因していると考えられる。すなわち、米国FRB(連邦準備制度理事会)のゼロ金利解除の前倒しの可能性、ECB(欧州中央銀行)による量的緩和政策の採用、そして、日本銀行の追加緩和の憶測である。その中でもFRBのゼロ金利解除の前倒しの要因が今回の円安に大きく作用しているようだ。そして、ドルは円以外の他通貨に対しても強含みで推移している。

FRBは10月に現在の量的緩和の段階的縮小(いわゆる「Tapering」)を終える。その後は、景気の回復を待ち、来年7月以降に利上げ(ゼロ金利政策の解除)を実施するというのが従来のコンセンサスであった。

だが、直近の経済指標の多くが市場関係者の想定を上回る改善を示しており、これが米国経済の加速度的な回復を示唆するものとして取り沙汰されている。さらに、FOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録でも数人のメンバーがゼロ金利解除の前倒しを主張しはじめていることが示され、ゼロ金利政策の解除の思惑が一気に高まった。

一方、ECBはユーロ参加国で広がるデフレの流れを断ち切るために、ドラギ総裁が量的緩和も辞さぬという姿勢を明確にしている。前回のECB理事会では、詳細はこれから詰めるとしながらもABS(証券化商品)やカバードボンド(企業が資産を担保にして発行する債券)を購入する用意があることが正式に発表された。

そして日銀は、来年10月から予定されている消費税率引き上げによる景気失速を回避するための政策協力としての追加緩和の思惑が広がっている。先日も、安倍首相と黒田日銀総裁の会談が開かれたが、その際に追加緩和が議題に上がったかもしれない。

以上のような将来にわたる金融政策の方向性の違いが、ドル高と同時にユーロ安、円安の流れを作りだしているというのが現状であろう。さらに、ウクライナ情勢に絡むヨーロッパ諸国対ロシアという地政学リスクの台頭に加え、イギリスではスコットランド独立問題がにわかに盛り上がり、これまでのポンド高の流れが一気にポンド安に転換したことも、ほぼ一方的にドル高の流れを加速している一因であろう。

ドル円レートの「レジーム」が変わった

これまで、最近の各国の金融政策を巡るニュースを追うことで、最近の円安の動きを考えてみたが、ここからは、マクロ経済的な視点から今後のドル円レートの落ち着きどころを考えてみたい(なお、実際のマーケットでは、資産価格はマクロ経済的要因から想定されるレンジをオーバーシュートする傾向がある点に注意する必要がある)。

まず、現在のドル円レートの水準を考える上で最も参考になるのは、「購買力平価」であると考える。ごく簡単にいえば、いわゆる「国内卸売物価(日本では国内企業物価、米国では生産者物価)」の相対比によって為替レートが決まるというものである。

直近時点(2014年7月)のドル円レートの購買力平価は1ドル=100円前後である。過去における実際のドル円レートの推移をみると、おおむね、購買力平価を中心として±20%のレンジ内に収まることが多かった。現在の1ドル=107円というのは、購買力平価から7%円安方向に乖離しているが、この「経験則」に従えば、あと13円(すなわち、1ドル=120円)程度の円安が実現してもおかしくないということになる。

また、購買力平価と実際のドル円レートの関係を見た場合、興味深いのは、今回の「アベノミクス」までは、一時の例外(2006年から2008年)をのぞき、ドル円レートはおおむね、購買力平価の水準を円安のピークとしてきた点である。

つまり、プラザ合意以降、ドル円レートは、購買力平価に到達した段階で、円安トレンドから円高トレンドに転換することが多かった。そして、(偶然なのか、政策的な意図があったのかは筆者にはわからないが)ドル円レートが購買力平価近傍に到達した時点で、日本銀行の金融政策が引き締めに転じたことがきっかけとなってドル円レートのトレンドが変わったことも指摘できる。

今回の「アベノミクス」以降、ドル円レートはこの「購買力平価」の円安天井をすでに突破している。そして、このような状況下で、日本銀行の金融政策が引き締めに転じる可能性はほとんど皆無である(なぜなら、現在の金融政策は2%のインフレ目標にコミットしている)ため、購買力平価である1ドル=100円を上回る円高になる可能性は極めて低い。すなわち、ドル円レートの「レジーム(ドル円レートの動きを決めるメカニズム)」は変わったと考えられる。

また、筆者が為替レートを予想する上で好んで用いてきたツールとして「ソロスチャート」がある。ソロスチャートは日米のマネタリーベースの比率がドル円レートの動きを比較的よく説明してきたことから、金融政策と為替レートの関係を考える上で便利である。特に、量的緩和・ゼロ金利政策の局面では、理論的には日米金利差は為替レートを説明する有効なツールではないはずなので、金融政策面を重視する場合にはソロスチャート的な考えは極めて有用であると考えられる。

ドル円レートは1ドル=105円程度が「均衡値」である

ところが、残念ながら、「アベノミクス」以降のソロスチャートは、必ずしもドル円レートをうまく説明できていない。だが、これは前述のように、ドル円レートのレジームが変わったと考えた場合、従来のソロスチャートで、ドル円レートの動きが説明できないのは、ある意味当然の話である。通常、レジームの転換は突然やってくるものだが、これは、市場参加者による為替レート予測方法が突然変わることに等しい。

より具体的にいえば、安倍首相は、自民党総裁選の前から大胆な金融緩和によるデフレ脱却を政策の最優先事項としてきたが、主に海外投資家を中心に、日本のマネタリーベースが加速度的に増加するという「期待」を生み出し、実際にマネタリーベースが急拡大する前に、ドル円レートは円安基調を強めたと考えられる。つまり、ドル円レートは日本のマネタリーベースの加速度的な増加に先行して、円安トレンドに転換したのである。

だが、マネタリーベースと為替レートの関係は維持されており、日米のマネタリーベースの水準を考えることによって、将来のドル円レートの大まかな落ち着きどころを予想することができる。

そこで、米国が10月に量的緩和政策の段階的な縮小を終え、量的緩和政策を終了させた後は大きな政策転換(マネタリーベースのさらなる縮小)はおこなわないと仮定し、日銀は12月末までに公約通り、270兆円のマネタリーベースを供給した後、2015年もこれまでと同様のペースでマネタリーベースを拡大させていくと仮定した場合に、ソロスチャートではどの程度のドル円レートが想定できるかをみてみよう。

米国の利上げが来年4月頃にあると想定した場合、来年3月時点(つまり約半年後)でのドル円レートの試算値は、1ドル=105円程度となった。つまり、現時点でのドル円レートは、来年4月時点での米国が利上げをほぼ織り込んだ円安水準であると推測される。ドル円レートは、米国のゼロ金利政策解除を考慮したとしても1ドル=105円程度が「均衡値」であり、ここからさらに円安が進行したとしても、1ドル=110円を上回る可能性は低いと考えられる。

さらにいえば、ECBが量的緩和実施に関して、なかなか議論の集約ができない割に、マーケットはECB(というよりドラギ総裁)の量的緩和の手腕とその効果を過大評価しているのではないかと思われる。

しかも、このところ、スコットランド独立問題にからむポンド安がさらなるドル高を招き、これがドル高円安を加速させている感もあるので、このまま、一方的な円安が続くというよりも、むしろ、逆に1ドル=105円を割り込む水準に戻る可能性もあると考える。

住友商株が急落、3年半ぶりの下落率-米シェール事業損失
2014/9/30

 9月30日(ブルームバーグ):米シェールオイル開発投資などで損失を計上する見通しとなったことから、住友商事株は30日に急落。株価は一時前日比13.2%安と、2011年3月15日以来の下落率となった。
同社は29日、今期(15年3月期)連結純利益予想について、従来の2500億円を大幅に下回る100億円に下方修正すると発表した。米国で手掛けるタイトオイルと呼ばれるシェール層からの原油開発事業での約1700億円の減損損失計上など、資源分野を中心に合計2400億円の損失を計上する見込みとなった。
12年9月に事業参加した米テキサス州の原油開発事業は米デボン・エナジー が主導し、住商の出資比率は30%。保有する鉱区の地層が複雑で、当初想定以上に開発コストが掛かることが判明した。この事業の北部地域では投資額を回収できるほどの石油や天然ガスの生産は見込めないと判断し、この地域で保有するリース権や井戸、関連設備の売却を決めた。売却先や日程は未定。南部地域の鉱区については保有を継続するが、開発方針は今後の収益性などを見極めて判断するとした。
そのほか、市況低迷で豪州の石炭事業で約300億円の減損損失を計上するほか、ブラジルの鉄鉱石事業で約500億円、米国タイヤ販売事業でも約200億円の減損損失計上の可能性を見込む。税効果等の影響300億円を差し引いた2400億円が減益要因となる。これを踏まえ配当予想も修正。中間配当は当初の予定通り1株当たり25円を維持するが、期末配当と年間配当については未定とした。前期の年間配当は47円だった。
追加減損は資源価格次第
29日夕に都内本社で記者会見した中村邦晴社長は「足元の資源価格から大きく下がらなければ追加の減損の可能性はない」と述べた。期末配当を未定としたことについては「実際に決算を締めるまで何が起きるか分からない。今は未定とする」と話した。
先に会見した猪原弘之最高財務責任者は、今回の多額の損失を計上したことを受けて同日付で社内に経営改革特別委員会を設置したと説明。減損計上の原因究明や資産ポートフォリオの見直しなどを進める考えを示した。同社は全体の資産に占める資源事業の比率が他の総合商社と比べて低く、資産比率の引き上げを目指すこれまでの方針は「白紙にする」という。
野村証券の成田康浩アナリストは29日付のリポートで、株主資本の10%程度をき損する減損処理は「ネガティブな印象」とし、従来「買い」としていた投資判断を「中立」に引き下げた。目標株価も1850円から1400円に減額した。同社が示した管理体制の強化策も「具体的な内容は未定で先行きの戦略に不透明感は残る」と指摘した。
想定外の減損
大和証券の五百旗頭治郎シニアアナリストは電話取材で「ここまで大きな減損額になるとは想定していなかった」と話した。同社は期末配当と年間配当を未定としたが「引き下げるリスクがあるのは今後の注目点。株主還元がテーマとなっている現在の株式市場からすると残念」と指摘。さらに米タイヤ事業などで追加の減損懸念が残るとして、「今期の純利益が100億円でとどまるのかは不透明」だと語った。
住商の業績下方修正を受け、格付投資情報センター(R&I)は同社の格付けの見通しを従来の「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。R&Iは格付け引き下げを発表したリポートで「利益蓄積が進まない一方、今期の新規投資は計画通り行う方針でリスク耐久力の低下が避けられない」と指摘した。
その上で、リスク管理態勢が機能せずに、今後も減損処理が発生するなどして格付けにかなり見劣りする利益しか確保できないような場合には「格下げの公算が大きくなろう」との見方を示した。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 鈴木偉知郎 isuzuki@bloomberg.net;東京 岡田雄至 yokada6@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:岡田雄至 yokada6@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net浅井秀樹, Ramsey Al-Rikabi

中国鉄鉱石先物が最安値、ゴールドマン「鉄の時代は終焉」
2014年 09月 10日 14:31 JST

[シンガポール 10日 ロイター] - 10日午前の中国商品先物市場で鉄鋼と鉄鉱石先物が下落し最安値を付けた。ゴールドマン・サックスはリポートで、鉄鉱石市場が新たな局面に入ったと指摘した。
鉄鉱石価格は、大手資源各社からの供給が最大の買い手である中国の需要を上回る中、今年に入り38%も下落している。
ゴールドマンのアナリストのクリスチャン・レロング氏とアンバー・カイ氏は10日付リポートで「2014年は、新たな生産能力がついに需要の伸びに追い付き、利益率が歴史的平均に戻り始める転換点、言い換えれば鉄の時代の終焉だ」と指摘した。
スチール・インデックスのデータによると、中国向け鉄鉱石価格.IO62-CNI=SIは9日、2009年9月以来の安値となる1トン=8320ドルに下落した。
10日の大連商品取引所で鉄鉱石先物1月渡しDCIOcv1は一時1トン=570元(93ドル)まで下落し同限月の最安値をつけた。その後やや持ち直し0.3%安の587元で前場の取引を終了した。
ゴールドマンは、2015年の鉄鉱石価格予想は1トン=80ドルで据え置いたものの、2016年の予想は4%引き下げて79ドル、17年は8%引き下げて78ドルとした。
上海先物取引所の鉄筋先物1月渡しSRBcv1は一時1トン=2725元まで下げ最安値を付けた後、0.6%安の2780元で前場を終了した。
データ提供会社スチール・インデックスは月報で「中国鉄鋼価格の下落に歯止めがかかる見通しが立たず、銀行が製鉄業者に融資を渋る中、多くの鉄鋼メーカーにとってキャッシュフローが現実的な問題となり始めている」と指摘した。

http://sp.m.reuters.co.jp/news/newsBodyPI.php?url=http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0H50C820140910

実質GDPマイナス成長で反アベノミクス派は大喜び、でも内需は順調に拡大中の謎 2014/09/08
土居雅紹

実質GDPマイナス成長で反アベノミクス派は大喜び、でも内需は順調に拡大中の謎 2014/09/08

 「日本の4-6月期GDPが年率6.8%減 アベノミクス、完全に失敗!」
 「試練のアベノミクス 4~6月期GDP大幅減 頼みの個人消費も黄信号」
 「力強さ欠く個人消費…政府シナリオに狂い」
 消費税の反動減がある程度見込まれていたとはいえ、「実質GDPマイナス6.8%」という2014年4-6月期のGDP統計で、「デフレ大好き学者」、「反アベノミクスメディア」から「なんでも批判政党」までが俄然勢いを盛り返しているようです。一部大手メディアや外国メディアもここぞとばかり、アベノミクス批判を繰り広げています。
 しかし、内閣府が発表したデータを直接調べてみると、“識者”コメントの受け売りだらけの新聞報道とは異なり、「アベノミクスは結構うまくやっている」こと、「GDPをもっと増やすための課題は輸入削減にある」ことが見えてきます。
■“実質GDP”は生活実感と大きく乖離
 「最近、どの行楽地もレストランも混んでいる」
 「株価もまずまず、企業業績は順調」
 「不動産業者や人材派遣業者がものすごく強気」
 という皮膚感覚と、“GDP大幅マイナス成長”の差がどこから出るのか、GDPの推移を見てみましょう(図1)。
図1
(出所:内閣府)
 これをみると、確かに2014年の第二四半期はマイナス6.8%で、2008年のリーマンショックほどではないものの、2011年の東日本大震災直後に匹敵する落ち込みです。でも、この数字だけを見て喜んだり、悲しんだりしていては、受け売りメディアと同じ表層だけの理解にとどまってしまいます。
 実は、この数字には4つ“トリック”があります。
 まず、消費税の駆け込み需要で第一四半期(1-3月)がプラス6.1%だったので、その反動減です。1-3月に先食いで+6.1%と水膨れしているので、その分が減れば“大幅減”に見えてしまうという点です。
 加えてこの数字は“季節調整値”で、かつ“年率換算”されています。年末の書き入れ時となる第4四半期は例年GDPの数字が増えるので、それを数学的に平準化するのが“季節調整値”で既にモトの数字ではありません。だから消費税の駆け込みで、いつもは数字が低い第一四半期が多ければその分修正後の数字は大きくなります。また3か月分の数値を概ね4倍にしてみせるのが“年率換算”です。消費税の反動減は今年は1回しかないと分っていても年率にすると効果が4倍大きく見えます。
 4つめは、“実際の数字(名目GDP)ではなく、実質GDPというところ”です。実質GDPはインフレやデフレの影響を排除するもので、経済学者からみれば“正しい”数字でしょう。でも、実質GDPで行われる操作は、企業経営や投資、実際の生活実感とは相容れないのです。
 例えば、
 「え~、当事業部の売上は前年と同額ですが、5%デフレだったので実質5%増です!」
 と事業部長が言えば、まずクビになります。
 また、
 「貴方の運用リターンは+8%でしたが、インフレが3%だったので、実質パフォーマンスは5%。これで今期のボーナスを決めます」
 といわれたらファンドマネージャーは顔を真っ赤にして怒ることでしょう。
 日常生活でも、
 「ダイコンの値段が税込150円から154円になっても、消費増税分4円は財布から払っていないのと同じなので値上がりと考えるのは間違いです」
 といわれて、
 「へぇ~、そうなんですか」
 と納得するオメデタイ方はまずいません。
 また、ドル円相場の10年チャートを見るときも、TOPIXの推移を見るときも、インフレ・デフレを調整した数字は机上の空論に過ぎません。このため、投資を考える際にはそのままの数字を使います。さらに言えば、この“実質値”に換算するための係数(GDPデフレーター)も、「ハードディスクの性能が倍になったら価格が同額でも50%価格が下がったとみなす」といった数字遊び的な要素を含んだものなのです。
 つまり、「実質GDPマイナス6.8%」という新聞の見出しに出る“似て焼いて作った数字”は、アカデミックの世界では意味があっても、投資、経営、会計といった用途には使えないシロモノなのです。
■GDPのモトの数字でみたら「あれっ増えている!」
 実質ではなくそのままの数字を(名目)、季節調整や年率換算する前のものを見ると、どうしてもアベノミクスを批判したい一部マスコミの説明とは違い、実態は悪くなさそうです(図2)。
図2
(出所:内閣府)
 まず、メディア報道から受ける印象と異なるのが、“駆け込み需要があった第一四半期よりも第二四半期の方が多い”ということです。消費税増税や便乗値上げ、円安の影響も入っているのですが、企業の売上や公共投資、実際に消費者が財布から支払う金額はこの数字の方が実感に近くなります。
 さらに言えば、過去の同じ四半期の数値どうしを比較したが、季節的な要因の影響もなく、機械的な季節調整の年率換算なしに、経済の状況を正しく見ることができるはずです。そこで、リーマンショックの影響も一段落し、東日本大震災が起こる前の2010年の各四半期を基準として、対応する四半期の名目GDPとの差額をみたのが図3です。
図3
(出所:内閣府、eワラント証券)
 2010年の各四半期との差額を見ると、リーマンショック前の2008年は今より桁違いに経済活動が活況であったことが見て取れます。また、翌年の2009年各四半期の落ち込みが大きいことと、2011年の東日本大震災やその後も続いたデフレ政策が経済を痛めつけていた事も一目瞭然です。
 ところが、2012年末から始まったアベノミクスによって、2013年第一四半期には目に見えて落ち込みが小さくなっています。とはいえ、2014年第一四半期の駆け込み需要でようやく2010年の水準比でプラスに転じました。驚くべき点は、そこで需要を先食いしてしまったにも拘わらず、第二四半期は2010年の同時期よりも経済活動が活発であったことです。これを見るなら「アベノミクスで日本経済は順調に回復中」ということになり、メディアに溢れる報道と全く逆の結論になります。
■内需も輸出も順調に拡大中、GDPを増やしたいなら輸入削減が不可欠
 「実体経済が良い方向に進んでいるにも拘わらず、マスコミの受け売り報道に惑わされるな」というと、「ん…まだ信じられない」という声が聞こえてきそうです。そこで、名目GDP(修正前のモトの数字)の内訳を、2010年の各四半期との差額でみたのが図4です。
図4
(出所:内閣府、eワラント証券)
 まず目に付くのが内需合計額(白黒の斜線)の急拡大です。マスコミがなんといっても、デフレ願望学者が政権批判をしても、アベノミクス後の内需は急拡大しています。また、「消費税導入で消費者の財布の紐が固くなった」、「性急な増税で日本の景気が減速した」と特定の海外メディアが大喜びしても、実態はそうではありません。家計の消費(緑の棒グラフ)を見ると、消費税導入後に落ち込んだとはいえ2010年よりも高い水準で、消費者の財布から出ているお金はかえって増えていることになります。
 また、「アベノミクス第二の矢である財政出動はバラマキばかりで役に立っていない」という声があっても、政府最終支出(黄色に黒の斜線)と公的資本形成(オレンジに黒の横線)は、2013年第一四半期以降、内需拡大をしっかり支えています。「円安で輸出が増える時代ではない」「日本の産業構造が変わった」というのもちょっと的が外れています。確かに東日本大震災以降、日本企業の現地生産の加速、海外企業の日本離れが顕著とされていますが、図4の輸出(茶色)は着実に増加しています。
 それでも課題はあります。「TPPを導入し、国家の枠を超えて行こうというご時勢にGDPという指標に頼るべきか」という意見もありえます。しかし、GDPで株価が動き、国力の目安とされている以上、「内需拡大だけでなくGDPを増やすことも同様に重要」なのです。現在、日本のGDPを大きく増加させることへの最も大きな障害は輸入の急拡大(図4の赤字に黒横線のグラフ)です。せっかくの内需拡大を輸入が喰ってしまっているわけです(日本が世界経済の拡大に貢献しているとはいえます)。
 つまり、「GDPの計算上、どんなに内需が増えても輸入品を買えばGDPが減る」のです。簡単に言えば、GDP(国内総生産)=国内の経済活動+輸出-輸入です。だから輸出はGDPにプラス、輸入はマイナスになります。
 このため、現在輸入総額の1/3を占める鉱物性燃料(原油や液化天然ガス)の価格が上がって輸入代金がさらに増えれば、計算上、日本のGDPは目に見えて減ります。また、スマホを買うときに、国産のスマホを買えばGDPが増えますが、中国産のiPhoneや韓国産アンドロイド端末を買えばGDPは製品輸入で減ります(部品の日本からの輸出より製品代金の方が高いので)。もちろん、日本のメーカーのスマホでも、外国製で輸入価格が小売売上の過半を占めていればその分GDPは減ります。
 同様に、欧米から最先端の医療機器を買い、外国製の衣服を買い、外国産のワインを飲めば国内流通業者の付加価値を除いた輸入代金分GDPが減ることになります。また、どんなに再生可能エネルギーが高くついても、国産の太陽光パネルを使って鉱物燃料の輸入を減らせばGDPがその分大きく増加することになります。
■GDPの観点から投資を考えるなら
 輸出入とGDPに着目して投資を考えるなら、以下のようなイベントに注目すべきといえます。
◎原発再稼動:鉱物性燃料の輸入減に直結するので、GDP急上昇、日本株復活のきっかけになりえます。
◎石油、天然ガス価格の低下:直接的に鉱物性燃料の輸入代金が減るので、GDP増加、株高要因になります。
◎スマホの売上不振:スマホが行き渡り、価格が低下し、新機種を買うことがなくなれば、近年輸入額が急増していた外国産スマホの輸入が減りその分GDPが増えることになります。
◎中国の環境規制:現在大幅な貿易赤字となっている中国で環境規制が強化されれば、製品価格に転嫁され、中国からの衣類、電気機器、食品などの輸入が減り、一部が国産品に代替されれば日本のGDPが増える可能性があります。また、中国への環境関連の輸出も増えることが予想され、日本株にはプラス要因です。
◎米ドル・ユーロ・人民元・ウォンに対する円安進展:短期的な株高に加え、輸出企業の採算向上、連結決算への海外子会社の貢献拡大という中期的な影響もあります。さらに、輸入インフレによる名目GDP増加(=株高)に加えて、従来より時間がかかりそうですが輸入品代替・輸入抑制により、長期的にGDPが増加する要因になります。
◎防衛装備の輸入:政府がどんなに防衛予算を増やしても大部分が高価な外国産航空機の輸入代金に消えればGDPは減ります。すると回り回って株安要因になります。
◎消費税増税第二弾が1%づつ2回に変更:駆け込みと反動減が少なくなるので、実質GDPの数字操作によるマスコミや受け手の誤解が減り、増税が日本株にとってのかく乱要因となりにくくなります。

https://www.ewarrant.co.jp/posts/kiwameru/201409080930

ジェネリックが製薬界の想定超に伸びる理由
特許切れ新薬に頼る中堅メーカーに打撃
筒井 幹雄 :東洋経済 編集局記者 2014年09月09日

特許の有効期間が切れた新薬と同じ有効成分で作られ、価格は新薬の約2~6割――。ジェネリック医薬品(後発薬)が、急速に勢力を拡大し始めている。

政府は2014年度の診療報酬改定で、包括評価制度の対象であるDPC病院(大病院とほぼ同義)について、診療報酬に大きく影響する後発医薬品係数を導入。調剤薬局についても後発医薬品の割合に応じて報酬が上乗せになる「調剤体制加算」を強化した。要は病院、調剤薬局でジェネリックを使えば使うほど、収入が増えるようにした。

「12年度に30%」の目標は未達

ジェネリックの普及拡大は、医療費の財政圧迫軽減を狙った政策だ。もともと政府は2012年度までにジェネリックの数量シェアを30%にする目標を掲げていたが、実績は約25%と大きく未達。そのため、算式を変えた新基準で2017年度に同60%(旧算式では34.3%、2012年度比9ポイント弱向上)の達成を掲げ、その一環として今回の報酬改定を実施した。

この影響が製薬業界、特に特許の切れた新薬である「長期収載品」を持つ製薬メーカーに及んでいる。直近の2014年度第1四半期(4~6月期)は、長期収載品の数量が想定を超えて減少したのだ。

医師は投薬については「使い慣れ」を重視する傾向があり、同じ成分のジェネリックがあっても長期収載品を処方しがち。これまでは、調剤薬局も公定価格と卸からの仕入れ値の差である「薬価差益」が多く取れるため、医師の処方箋に従っていた。

ところが、調剤体制加算の強化を受けて、調剤薬局は処方箋に医師からの「ジェネリックへの変更不可」の指示がなければ、どんどんジェネリックを処方し始めた。大病院内の薬局も同じ。薬剤部が切り替えを始めている。

長期収載品への影響は製薬メーカーの規模を問わず同じだが、大手は海外事業の伸びでその穴を埋めている。直撃を受けているのは、国内主体で特に強力な長期収載品を持っている中堅だ。数量減もきついが、それ以外の影響もある。ジェネリック発売から5年後にジェネリックへの置き換え率が6割に満たない薬は、通常の薬価引き下げに加え1.5~2%の追加的な引き下げを薬価改定ごとに受けることになったのだ。

久光製薬が主力とする、消炎鎮痛貼付剤(モーラステープ)は市場シェア8割強。薬価改定で2%の追加的引き下げを受け、数量面でもジェネリックに侵食された。今第1四半期の売り上げは前年同期比約4%減。これを主因として久光単体の営業利益は前年同期比約3%の減益となった。「薬剤部、調剤薬局などもMR(医薬情報提供者)を回らせ、貼り心地を訴求する」と会社は言うが、通期計画に対する進捗率を見ると出だしの影響をカバーするのは難しそうだ。

持田製薬の屋台骨を支える高脂血症薬エパデールの落ち込みも業界を驚かせた。原料がいわしから抽出する油のため、その精製度合いによっては製品に影響が出る。よくあるジェネリックへの苦情は「におい」で、精製が不十分だと臭くて飲みにくい。

今回ばかりは勝手が違う

そのため、追加的薬価引き下げを受けるほどシェアは高く、これまで会社側の売り上げ計画は期初がだいたい慎重予想で終わってみると超過達成というのが定石だった。ところが、今期ばかりは勝手が違う。通期のエパデールは前期比10%減の計画なのに、第1四半期の対前年同期比減少率は10%を大きく上回っているもようだ。

久光製薬は売り上げが会社計画を下回っても、米国子会社の経費抑制で営業利益は計画を達成できそうだ。一方、そうした隠し球を持たない持田製薬は、増収減益(研究開発費増が理由)から売り上げ横ばい、減益幅拡大となる可能性が高い。

財政を考慮すればジェネリック普及促進が弱まることはない。長期収載品主体のメーカーは再編も含めて戦略の練り直しを迫られそうだ。

http://toyokeizai.net/articles/-/47461?page=2

世界で続く賃金大停滞
英エコノミスト誌 2014年9月6日号

先進国全体で賃金が停滞している。

各国の中央銀行はかつて、賃金の高騰を激しく批判していた。1970年代のような、物価と賃金がともにスパイラル的に上昇する破滅的な事態に逆戻りしないように、という先入観が常に働いていたのだ。ところが、金融危機以降、中央銀行は全く逆の悪循環を懸念してきた。賃金の停滞と、拡大するデフレのリスクだ。

 先進国ではここ数年、賃金の下落傾向が見られる。経済協力開発機構(OECD)が9月3日に発表した今年度の「雇用アウトルック」によれば、OECD加盟国では2010年から2013年にかけて、実質賃金(インフレ調整後)が横ばいだったという。

国・地域によって異なる賃金停滞の理由


 その間、米国はほとんど上昇していないし、ユーロ圏と日本では減少している。ポルトガルやスペインなど、問題を抱えるユーロ圏の周縁国の落ち込みが特に激しいが、英国もやはり急落している(図参照)。

 こうした急激な調整は痛みを伴ったが、基本的には避けることができなかった。

 というのも、実質賃金は長期的に見ると、生産性と同じペースでしか上昇しない。例えば2007年以降の英国のように生産性が低下し続ければ、実質賃金が下がるのもやむを得ない。

 一方、危機に見舞われたユーロ圏の国々は人件費を引き下げ、北方の加盟国に比べて弱くなった競争力を取り戻す必要があった(通貨同盟のせいで、通貨の切り下げという一般的な調整方法を取ることができない)。

 大部分の先進国――ただし英国とイタリアは例外――では、労働生産性は再び上向いている。また、米国や英国など一部の国では、高失業率による賃金引き下げ圧力も弱まっている(残念ながら、ユーロ圏では失業率がいまだに11.5%もある)。

 しかし、2009年後半に10%を記録した米国の失業率が6.2%まで低下したにもかかわらず、名目賃金(インフレ調整前)は大して伸びていない。危機以前は、民間部門の名目賃金の上昇率は年間3.5%前後だったが、現在は同2%にも満たない。

 英国も、失業率はピーク時の8.4%から6.4%に改善しているが、名目賃金の上昇率は年0.6%にすぎず、危機前の平均4%に遠く及ばない。

米国より英国の方が賃金の引き締め傾向が強いのは、労働力供給のトレンドの違いから説明できる。英国の労働参加率――成人の人口に占める労働者と求職者の割合――は前回のピークである64%弱まで戻り、さらに上昇の気配を見せている。これに対し、米国の労働参加率は金融危機以降3ポイント下落し、63%前後で推移している。

米FRB、追加緩和策決定 米国債6000億ドル購入
米連邦準備理事会(FRB)は金融引き締めのタイミングを計るうえで労働市場を注視している〔AFPBB News〕

 労働参加率の低さがどの程度構造的な問題なのかという点の解明は、米連邦準備理事会(FRB)が金利引き上げのタイミングを決める際に、極めて重要な要素となる。

 構造的な問題とは、つまり通常より弱い回復に起因する景気循環の影響ではなく、ひいては持続的な問題ということだ。

 FRBは名目賃金の停滞について、労働市場には、失業率の低下が示唆する以上の需給のスラック(緩み)が生じている証拠と捉えてきた。ところが、FRBのジャネット・イエレン議長は先頃、賃金の停滞は見せ掛けにすぎないかもしれないと発言した。

「抑え込まれた賃金デフレ」が解消されれば回復も?

 サンフランシスコ連銀が実施した最新の調査によれば、多くの雇用主は、労働者が名目賃金の引き下げに強く抵抗したため、危機の間、賃金を凍結していたという。労働者は、インフレにより自分たちの購買力が蝕まれることに対する以上に激しく、賃金引き下げに抵抗したからだ。

 不況時に賃金を下げることができなかった雇用主は、景気が改善した今も賃金を上げていない。しかし、この「抑え込まれた賃金デフレ」が自然に解消すれば、賃金が上昇を始める可能性もある。

 このような形で回復が期待できるのは米国だけではないかもしれない。OECDが3日に発表した報告書によれば、OECD諸国では、決して普遍的ではなかったが、名目賃金を下げることに消極的な傾向が広く見られるという。

 2007年から2010年にかけて、名目賃金が変わらない労働者の割合は大幅に増加した。例えば、スペインでは、賃金凍結を受け入れざるを得なかったフルタイムの労働者は2008年には3%だったが、2012年には22%まで増えている。

 日銀総裁として日本の最新のデフレ退治の取り組みに挑んでいる黒田東彦氏も、賃金低迷を懸念している。日銀は新たな量的緩和を実行し、紙幣を増刷して国債を購入した結果、これまでの中途半端な量的緩和以上に物価を上昇させることに成功した。しかし、賃金は停滞したままだ。

7月までの1年間の現金給与総額は2.6%増加したものの、これはボーナスの増加によるところが大きい。所定内給与は0.7%しか増えておらず、新たな量的緩和による物価の上昇率には遠く及ばない。黒田氏は最近、賃上げを協調的に促すために「見える手」を打つ必要があると発言している。

通貨同盟の縛りがあるユーロ圏は・・・

ユーロ圏15か国が景気後退入り、ユーロ導入以来初めて
ユーロ圏では、デフレのリスクが徐々に大きくなっている〔AFPBB News〕

 このような解決策は、ほかにやり方がない苦肉の策にも思えるが、独自の通貨を持つ日本では成功するかもしれない。しかし、同じくデフレのリスクが続くユーロ圏では意味をなさないやり方だ。

 ユーロ圏では8月までの1年間に0.3%しか物価が上昇していないが、通貨同盟の内部では、各国の為替レート変動の代替として、賃金を自由に上下する環境を整える必要がある。

 もしドイツの賃金が上がれば、相対的に競争力のない他のユーロ加盟国は、賃金引き下げによる調整の必要があまりなくなる。ドイツの中央銀行のイェンス・バイドマン総裁が賃上げを――インフレ警戒派が主流のドイツでは大胆なことに――求めているのはそのためだ。

 金利を引き下げたばかりの欧州中央銀行(ECB)も、2%近くというインフレ目標を達成するため、もっと大胆な策を打ち出すことができるはずだ。そうすればユーロ圏の弱った国々は、あからさまな賃下げではなく賃金の凍結によって競争力を回復できる。

 当然のことながら、賃金を重視しているのは中央銀行だけではない。賃金が低迷すれば所得税収や社会保障の拠出金が縮小し、政府が財政を立て直すのが困難になる。実質賃金が増えなければ家計の痛手にもなり、消費者は財布のひもを緩めない。賃金の引き締め傾向が終わらない限り、先進国が健全かつ持続可能な回復を実現するのは難しいだろう。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41677?page=3

日本にも押し寄せる「資源バブル終宴」の余波
原料炭価格はピーク時の半値以下に
2014年09月07日

豪州の炭鉱街で閑古鳥が鳴いている。IMF(国際通貨基金)のまとめによれば、かつて4%を誇った同国のGDP(国内総生産)成長率は、2%台まで減速。2014年の失業率も、2002年以後、最悪となる6%に達するとみられている。

背景にあるのは資源バブルの終焉だ。特に石炭価格の下落が足を引っ張る。

石炭は発電に使われる一般炭と、鉄を作るのに使う原料炭に分かれる。日系鉄鋼メーカーが使用する原料の指標である豪州産強粘炭の契約価格は、ピークだった2011年に1トン当たり330ドルをつけたが、2014年7~9月は同120ドルまで低下した。大和証券の五百旗頭治郎アナリストは「この価格では大半のサプライヤーは赤字だろう」と指摘する。

なぜ価格は暴落したのか


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価格下落の要因は2つ。中国の鉄鋼需要の伸びが減速していることと、豪州で原料炭の増産が続いていることだ。

2013年の中国の鉄鋼生産量は7億トンと、世界のほぼ半分に達している。ただ中国経済の減速を受け、足元の生産量は2014年1~7月実績で前年同期比5%の伸びにとどまっている。かつての年間2ケタ増という水準からすれば、大幅な鈍化だ。

だが、需要が伸び悩んでいるにもかかわらず、原料炭生産大手のBHPビリトン(英・豪)は競合を駆逐するため、増産を継続。同社の出荷量は2014年6月期に4510万トンと前期比2割増となった。

豪州の経済成長を引っ張ってきた資源価格が落ち込んでいることから、欧米の新聞はこぞって「資源バブルの終わり」を報じている。その余波が日本にも押し寄せ始めた。

特に影響を受けているのが、各国に資源権益を持つ総合商社だ。五百旗頭アナリストの試算によれば、総合商社大手5社は2013年度に原料炭がらみで合計870億円の減損を計上。「今期も数百億円の減損を計上する可能性が高い」(同)と分析する。

鉄鋼メーカーも原料安を喜べない

原料安の恩恵を受けるはずの鉄鋼メーカーも、環境は厳しい。鉄鋼業界の生産コストは原料炭と鉄鉱石の占める比率が高い。新日鉄住金が購入する原料炭の量は年間3000万トンに達し、日本の原料炭輸入量の4割を占める。

ところが、原料炭をはじめとした原料価格が下落していることを受け、自動車メーカーなど大口需要家からの値下げ圧力は高まっている。今下半期(2014年秋~2015年春)の販売価格は上半期(2014年春~秋)に比べ、3%程度の値下げで妥結したもよう。業界内では「原料安で得られるはずの恩恵は値引きでほぼ相殺された」(鉄鋼専門商社)とささやかれている。

こうした市況の悪化を受け、BHPビリトンをはじめとした大手資源メジャーは人員削減などのコストカットに着手。日系の大手総合商社も資源権益売却の検討に入ったとうわさされる。

中国の爆食を追い風に、資源バブルに踊った豪州や総合商社。今は宴の後始末に追われている。

http://toyokeizai.net/articles/-/47261?page=2

人材業界、人手不足時代到来で低迷から一転 “潤う” テンプ最高益、再編加速か

2008年のリーマン・ショック以降、市場規模の縮小が続いてきた人材サービス業界に「人手不足」の追い風が吹き、各社の業績が上向いてきている。
 総合人材サービス大手テンプホールディングスの2014年4-6月期連結決算の売上高は、前年同期比11%増の957億円、営業利益が44%増の56億円、純利益は74%増の34億円となった。同社は13年4月に、求人広告などを手掛けるインテリジェンスホールディングスを米投資ファンドKKRから510億円で買収した。買収の背中を押したのは12年10月に施行された改正労働者派遣法。派遣先企業は規制強化を懸念して直接雇用に切り替えるなど「派遣離れ」が進み、人材サービス業界は極端に少なくなったパイを奪い合う状態となった。テンプは連結売り上げの8割を人材派遣で稼ぐ。転職支援など人材紹介は手薄で、求人広告は手掛けていなかった。人材派遣事業以外にシフトするため、巨額資金を投じてインテリジェンス買収という大勝負に出た。

 この賭けは勝負は吉と出た。景気回復に伴い、事務系や技術者の人材派遣や紹介サービス需要が拡大。4-6月決算でみると、主力の人材派遣事業の売り上げは9%増の671億円、セグメント営業利益は10%増の32億円となり、派遣スタッフの社会保険料の増加や業務の繁忙による人件費増を吸収して好調に推移した。

 利益を大きく積み上げたのは買収したインテリジェンスの事業だ。転職サービス(DODA)、再就職支援サービス(an、salida)などのキャリア事業の売上高は79億円と、派遣事業に次ぐ第2の柱となった。セグメント営業利益は17億円と、ほぼ倍増した。15年3月期(通期)の見込みは、売上高は8%増の3900億円、営業利益は13%増の210億円となり、4期連続で最高益を更新する見通しだ。中期計画では、17年3月期の売上高5000億円、営業利益300億円という強気の数値目標を掲げているが、好決算が引き金となり、8月25日の株価は上場来最高値の3840円をつけた。テンプは人手不足で最も潤った企業の一つとなった。

●大都市では3社に1社が人手確保に苦慮


 厚生労働省が発表した7月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から横ばいの1.10倍で、1992年6月(1.10倍)と並ぶ高水準だ。都道府県別で最も有効求人倍率が高かったのは東京都の1.62倍で、売り手市場となった大都市では人手不足が企業経営者の悩みのタネとなっている。

 では、どのくらいの数の企業が人手不足なのか。リクルートワークス研究所の調査によると、今年4-6月のパートやアルバイトの採用で、必要な人材を確保できなかった企業は30.5%に上った。正社員の中途採用で必要数を確保できなかった企業も32.1%に達し、景気回復の途上で3社に1社が人手確保に苦慮していることを示している。なかでも小売業(43.8%)と飲食サービス業(42.4%)は、「仕事の大変さに比べて給与水準が低いことが敬遠され」(同研究所)、パート・アルバイトを確保できなかった。

●業界再編加速か


 こうした背景が、人材派遣会社への派遣要請が増える要因となっている。縮小してきた人材派遣市場は底を打ち、上向きに転じ、長い冬の時代から抜け出す絶好のチャンスを迎えた格好となったが、そもそも人材派遣会社自体が人手不足で苦しんでいる。テンプ傘下のテンプスタッフが運営する求人検索サイト「ジョブチェキ!」上に表示される求人数をみると、年初の約1万人程度から9月には8割増となり1万8000人を超えている。これに対し仕事を求める派遣登録者数は、3割前後しか増えておらず、需給ギャップが広がっている。このギャップを埋めるために、派遣各社はOAや語学、専門事務など分野ごとに派遣登録者のスキルアップを支援することで、囲い込みを図っている。

人材サービス業界における大きなニュースとしては、大手のリクルートホールディングスが10月にも東証1部へ上場する。リクルートは海外に軸足を移しており、人材派遣事業の売上高6124億円のうち国内は前期比4.4%増の3586億円(14年3月期)。これに対して、テンプの14年3月期の売上高はインテリジェンスの買収効果で3624億円と47%の増収。リクルートの国内売り上げを上回り、国内トップに立った。3位はパソナグループの2086億円(14年5月期)。これを世界の3強であるアデコ(スイス)、ランスタッド・ホールディングス(オランダ)、マンパワーグループ(米国)の日本法人が追う展開となっている。

 人材派遣事業はリーマン・ショック後、売り上げが激減し、回復が遅れていた分野だ。リクルートは海外企業の買収を加速させ、テンプはインテリジェンスを買収して総合人材サービスに変身した。これまで人材サービス業界はM&Aを重ねてきたが、景気回復による日本企業全体の人材不足を受け、さらに再編は進むとの見方が強い。
(文=編集部)

http://biz-journal.jp/i/2014/09/post_5969_entry.html

マクドナルド8月売り上げ 最大の落ち込み
9月9日 16時03分

マクドナルド8月売り上げ 最大の落ち込み
日本マクドナルドの先月の売り上げは、中国・上海の食品加工会社が使用期限切れの食材を加工していたとされる問題の影響で来店客が減少したことから、前の年の同じ月に比べて25.1%の大幅な減少となり、1か月間としては会社の株式が上場した平成13年7月以来、最大の落ち込みとなりました。

「日本マクドナルドホールディングス」が9日発表した販売実績の速報によりますと、先月の売り上げは既存店どうしの比較で前の年の同じ月に比べ25.1%の大幅な減少となりました。
減少幅は月ごとの売り上げとしては会社の株式が上場した平成13年7月以来で最大だということです。
また、来店した客の数も前の年の同じ月に比べ16.9%減少しました。
これについて日本マクドナルドはことし7月に中国・上海の食品加工会社が使用期限切れの食材を加工していたとされる問題が明らかになって以降、鶏肉を使った商品の売り上げが低迷したことや、鶏肉をタイ製に切り替えてからも一時、仕入れが追いつかず販売できない商品が出たことなどが要因だとしています。
中国・上海の食品加工会社の問題を受けて、日本マクドナルドは原材料の情報を公表するなど、信頼回復に向けた取り組みを進めていますが、業績に大きく影響する形になっています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140909/k10014466031000.html

不振グリー、なぜヒット作が出ない?崩れた必勝パターン、新事業連発に社内外から疑問の声
2014/9/6

ソーシャルゲーム大手のグリーが、新事業の展開を加速させている。
 5月にバッグ類中心のブランド品買取サイト「uttoku by GREE」を開設したのを手始めに、6月に会員型ホテル当日予約アプリ「Tonight」、7月に台所、浴室など住宅設備の定額制リフォームサイト「いえプラス」を開設した。さらに、8月に入ると12日に介護施設の検索サイト「介護のほんね」、13日に訪問型保育マッチングサイト「スマートシッター」を相次ぎ開設している。また、Tonightには8月からカップル向けホテルの当日予約アプリ「Tonight for Two」(すでに終了)を追加している。同社関係者は「年内にあと5~6件の新事業開始を予定している」と明かす。

 こうしたグリーの新事業展開について、インターネット業界関係者からは「よくいえば保育から介護、宿泊までと多彩だが、新事業間の相乗効果は薄く、本業のソーシャルゲームとの関連性は不明」との声も聞こえてくる。

 新事業ラッシュの背景には、グリーの業績不振がある。同社が今月13日に発表した2014年6月期連結決算は、売上高が前期比17.5%減の1255億円、営業利益が同28.0%減の350億円、最終利益が同23.0%減の173億円で、2期連続の減収減益。15年6月期第1四半期(14年7-9月)も前期比減収減益が続く見通し。このため、同社は今期(15年6月期)の通期見通しを示さなかったが、「赤字転落が濃厚」と予測する証券アナリストが少なくない。

 前期は1年間で約40本の新作ゲームを開発したもののヒット作は出ず、人気があった既存ゲームも飽きられ、ユーザ離れが進んだ。グリーは「ゲーム事業はヒット作の有無で業績が大きくぶれる。こうしたばくち的な事業体質から抜け出すためにゲーム以外の事業育成が不可欠になった」と説明している。

●ソーシャルゲーム大手の必勝パターン


 12年に社会問題化した「コンプガチャ問題」でつまずくまで、『探検ドリランド』をはじめとする数々の人気ゲームを量産していたグリーから、なぜ急にヒット作が出なくなったのだろうか。

 ゲーム業界関係者は「携帯電話向けソーシャルゲームで急成長した同社は、その成功体験にこだわり、スマートフォン(スマホ)向け対応が遅れたためだ」と、次のように説明する。

 携帯電話の普及を背景としてソーシャルゲーム市場が形成されたのは、08年から09年だった。そこへいち早く進出し、成功を収めたグリー、ディー・エヌ・エーなどソーシャルゲーム大手には必勝パターンがあつた。

 ニーズを発見したら3週間程度で試作品レベルの自社オリジナルゲームを開発し、迅速に市場投入する。そして、ユーザの反応を見ながら修正を繰り返し、完成度の高いゲームに仕上げてゆく。そうしてヒット作にしたら、今度はそのヒット作を「ガンダム」「ワンピース」など他社の既存人気コンテンツのゲームにアレンジし、次々と「新作」として売り出す。ゲームの仕組みは同じでも、それを多種多様なコンテンツ上に展開することで「多種多様なユーザ」をゲームに取り込めるというわけだ。

しかも、ゲームの基本システムはオリジナル版もアレンジ版も大差はないので、ゲーム1本当たりの開発費は1000万円程度。開発期間も3カ月程度で済んだ。ゲームもユーザがネット上からダウンロードする仕組みなので、広告宣伝に費用をかけても全体の販売コストは低い。ゲームが1本ヒットすると、そのゲームから毎月多額の営業利益が生まれた。

●遅れたスマホ対応


 そんなソーシャルゲーム事業の旨味が、スマホの普及で消滅した。

 携帯電話向けゲームはデータダウンロード型だが、スマホ向けゲームはアプリダウンロード型。例えば携帯向けの場合は、ユーザが遊ぶたびにゲーム会社のサーバから必要なデータをダウンロードする。対して、スマホ向けの場合は、画像、音声などゲーム構成に必要な全データをソフトウェア化したアプリを、ユーザは事前にダウンロードしてから遊ぶ。  

 スマホの画面は携帯より大きく精細なので、スマホ向けゲームには携帯向けよりリアルな画像と迫力のある音源が要求され、会社側にとっては家庭用ゲーム機向けソフト同様の開発工程、開発期間、開発費が必要になる。しかも、1本のゲームもスマホの主流OS、iOSとAndroidの2種類向けに開発する必要がある。このため、ゲーム1本当たりの開発費は、それまでの1000万円から5000万~1億円へ増え、開発期間は3カ月から9カ月~1年へ延びた。ソーシャルゲーム事業を携帯向けからスマホ向けにシフトするためには、工程管理を含め、ゲーム開発体制を根本的に変えなければならなかった。

 それだけではない。これだけ巨額の費用をかけて新作を開発しても、それがヒットする保証はどこにもない。スマホ時代になると、ソーシャルゲーム事業はリスキーな事業になり、携帯向け時代に確立した必勝パターンは通用しなくなった。グリーはこうした環境変化に戸惑い、スマホ対応が遅れたといわれている。

●市場からは冷めた見方も


 グリーは14年6月期連結決算説明会の席上、前年度1年間で約40本の新作ゲームを開発しながら1本もヒットしなかった理由について、「(ヒット作を生むためには)打率向上(開発力強化、開発工程見直し)×打席数増加(開発本数増加)が重要だが、前期は打率向上が不十分だった」と反省。そして「これまで300人体制だったスマホ向けゲーム開発人員を今期中に一挙1000人体制へ拡大、ゲーム事業の業績巻き返しを図る」と説明した。

 もちろん、体制強化によりヒット作が生まれる保証はないが、そこでソーシャルゲームに次ぐ事業を早急に打ち立てるため、今年の新事業開始ラッシュにつながっている。
グリーの関係者は、同社内の動きについて次のように打ち明ける。

「今年1月から田中良和社長が急に『総合インターネット企業への飛躍』を言いだし、社内は『リアルビジネスのネット化』ができる事業を探せと大騒ぎになった。そして今年4月、新事業の社内公募を行い、全社員約1800人から150件ほど集まった企画の中で、役員プレゼンに合格した案件が順次事業化されている」

また、別の関係者は「いつも通りの急な社長命令で、みんな思い付きで出した企画。提案者にとっては新事業でも、世の中的にはみんな手垢のついた既存事業。それらに少し手を加えて、リアルビジネスのネット化らしい事業コンセプトをこしらえた。脈絡がないといわれても仕方がない」と自嘲気味だ。

 こうした内情も漏れているためか、新事業に対する株式市場関係者の反応は厳しい。実際、ネット業界担当の証券アナリストは、こう冷めた見方を示す。

「ゲーム事業の落ち込みをカバーできる新事業をわずか1~2年でつくるのは、いくらスピード感の速いネット業界でも難しい。グリーがすでに開始している新事業も類似既存事業と比較すると、いつ、どの程度収益化できるかは予測不能。これでは業績改善策と評価できない」

「総合インターネット企業への飛躍」を掲げて打ち出した新事業だが、田中社長は「逆境こそ、わが社の歴史」(「日経ビジネス」<日経BP社/14年3月3日号>より)と手綱を緩めるそぶりは見せないが、「逆境」はしばらく続きそうだ。
(文=福井晋/フリーライター)

http://biz-journal.jp/i/2014/09/post_5935_entry.html
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